お休みの日、風の波紋という映画を観ました

連休後半は少し店のお休みをいただいております。
普段は、店舗定休日の火曜と水曜に、打ち合わせや納品をさせていただいておりますが、連休中は先方もみなさんお休みでそれらの予定もなく、この機会にご招待をいただいた『風の波紋』という映画を観てきました。鑑賞後の印象がとても良く、とても良い機会でした。

映画の舞台は越後妻有です。そこで営まれている暮らしが淡々と綴られていました。
私にとって、新潟で一番つらいのが寒くて暗くて長い冬です。住人になって17年ですが、今でも春が来たばかりなのに次の冬がまた来ることを思い嘆きます。越後妻有の冬は、新潟市のそれより数倍寒くて暗くて長いでしょう。映像でも3メートル以上の雪を映していました。誰も演技していないドキュメンタリー映画ですが、その越後妻有の冬の中で、あまり人々が嘆いていなかったのが印象的でした。こんなに長い間意識したことがなかったのですが、もしかしたら寒さというのは孤独によって感じるものなのかも、と思いました。もちろん新潟市の普段の冬の生活の中でも家族や仕事との関わりがあり、一人というわけではありません。でも、厳しい冬を乗り越えるために同じ気持ちをもって人と助け合うということはあまりないと思います。越後妻有での冬にはそれがある、というか、それがないと不可能です。案外それで嘆かずに冬を過ごせているのだなあと思いました。そして、冬だけ急に協力しましょうというのはできないことで、一年を通して共に暮らすということが、もう生きる上でベースとなっていました。

厳しい自然の中で人と濃く関わりながら生きていくなんてそんなキツそうなこと、なぜ好んでそんな暮らしを?と思われても当然だと思います。でも映像の中の濃い緑とか、とれたての旬の食材、雪が積もった後の晴れ間などは非常に魅力的でした。世の中にはいろんな楽しいことがありますが、なんというか、どれもなかなか力づくな感じがします。空気とごはんがおいしいと、あーもうこれだけでいいや、とつい思ってしまうところが人にはあるような気がします。その日常を守る人たちのことが紹介され、見ることができたことはとても良かったです。おいしい所だけ、たまに訪れていただいてくることには後ろめたい思いを抱きつつも、うらやましくて訪れると思います。

草木染めのために桜の枝を切り刻むときに、枝の命を感じて辛くなる場面が、短く挟まれたエピソードの中で心に残りました。