ヨーロッパの木の玩具

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7月8日より、目黒美術館(東京)で開かれる企画です。この企画のお話しを伺ったときから、これはもう、絶対行く!と思っていました。
その意気込みの理由の一つは、ザイフェンからクリスチアン・ヴェルナーさんが来日し、ライフェンドレーエン(木工ろくろ引きの技術)の実演やワークショップがあると伺ったことです。クリスチアンさんの工房は、一度訪れる機会がありました。ザイフェン村を訪ねることも貴重な機会でしたが、さらに工房まで見せていただき、その時の感動は一生忘れないと思ったものでしたが、それがまた日本で見ることができるとは。

もちろん、技術がすごいのです。
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こういう、指先サイズのちいさな木工の動物たちは、木の輪っかを見当つけてろくろ技術で削り出し、それをスライスして、それから細工してできています。切り口の断面が動物の形をしているのを見た時も驚きの感動でしたが、その部分はほとんど仕上げのところで、その前に、木を水につけておくなどの課程を踏んだ丁寧な下準備と、伝承された技術が見事に正確なことが感動をより大きくしました。

この、手のかかる素晴らしい技術を継いでいくその心に私は惹かれます。自分も含め、自分を取り囲む社会は、ちょっと油断すると騙し合いや出し抜き、損得のこと、争いのこと、そんなことばかりのように感じられ、人間の頭が考え、人間の手が行うことは、もっと優れた人工知能がより効率よく正確に取って代わっていくことを求めています。立ち止まって考える暇を与えない仕組みになっていて、追われて疲れ果てる毎日。でも、何度歴史を繰り返しても、人は同じことを求めていくと思います。

そんな中で、価値を見出す観点がそこになく、訪れるのも不便なエルツ山地の小さな村で、伝えられてきた技術を受け継ぎ、ひとつひとつ丁寧に素晴らしいものを生み出していく、そんな世界が残っていることが技術の背景にあるものとしてより深く心に染みます。自分は求めてもそんなことはできないけど、そうやってできたおもちゃを目にすることで、それらが生まれた背景に思いを馳せ、一呼吸つくことができるのです。だから、作品だけみても素敵なのも確かなのですが、製作の様子を見ることからもっと奥のものまで感じ取ることができれば、よりそのおもちゃが側にあることに意味が生まれる気がします。今回の企画は、それを叶えるものになるのではないかと思うのです。
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店内ではこちらにたくさん動物たちがいます。

来日されるクリスチアンさんのおもちゃだけではありません。今回展示されるおもちゃは、どれも同じ背景をもっています。私が大好きなおもちゃばかりです。私はクルテクを開くときから、おもちゃの美しさと機能は結びつくものであって、またそれが実現されているものを置きたいと言う思いを持ち続けてきました。これからもそれは変わらないですし、そのようなおもちゃがずっと残ってくれますように、と祈っています。そして、そんなおもちゃで訪れるお客さまたちが楽しく遊んでくださったら、それは大きな喜びです。

機会がありましたらぜひ訪れてみてください。私も、また美術館に行ってきた様子もレポートしますね。

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