おもちゃに興味を持たない理由

店内でお受けするご相談で、意外と目立つのが「うちの子は、あまりおもちゃで遊ばないのです」というものです。遊んでくれるようなおもちゃを探しにご来店、とお聞きします。

私も、このおもちゃなら遊んでくれるはずですといったような即答はなかなかできないです。もしかしたらそんなものはないのではないかとも思います。

おもちゃで遊ばないにしても、なんらか活動しているはずですね。では普段何をされていますか?とお聞きします。その辺りにあるものを次々触ったり、落としたり。テレビやスマホを見ていたり。何をしているとも言えない…ということも。でも、意識をそちらに向けていただけるだけで、どんなことをやりたがっているのか、何が必要なのか、少しずつ思い当たってこられるようです。

おもちゃを増やしたいとお考えのときも、なぜ今お手持ちのもので足りないと感じるのか一緒に考えさせていただくと、加えていただくともっと遊びが広がるもの、成長に伴いできるようになったので増やしたほうが良いもの、お持ちのものでまだまだ遊びを工夫できるもの、と答えが幾通りかに分かれていきます。

良いおもちゃには素晴らしい力がありますが、それは、遊ぶ人の持っている力を引き出す力です。上手に相手をしてくれるとか、惹きつけてくれると言った面倒見の良いものではなさそうです。おもちゃに興味を持たない、遊ばないときには、おもちゃの力と遊ぶ人の力をつなぎ合わせる役割が必要で、それはお家の方だったり、先生だったりしますね。今は面倒見の良いものがあふれているから、なおさら遊ぶ側(と見守る側)に主体性が求められると戸惑ってしまうのかもしれません。

時代が変わって周囲の環境が変わっていっても、子どもが持つ力はまだ変わっていないと実感しています。おもちゃで遊ばないのはどうしてだろう。おもちゃが何かを与えてくれるという受動的な意識から、主体を遊ぶ人に移していくと、見えてくることがあるかもしれませんね。