遊ぶための場

空間的環境のイメージ画像

子どもがおもちゃで遊ぶときに、おもちゃをどのように配置するかということは、どんなおもちゃを選ぶのかと同じくらい大切なことだと感じています。そして、理想的におもちゃを配置することは、おもちゃを購入することより難しいとも感じています。

家庭でも、園でも、遊ぶためだけの固定した空間を用意することはなかなか困難です。ひとつのお部屋は、時間帯によって使い方が変わるのが普通ですよね。ましてや、定期的に場所を借りてその日その時間だけおもちゃを使うような場合は、かなり環境の作り方は限定されます。

そこが、本当に難しいところだと思っています。

理想的な空間は、遊びや人、おもちゃが混ざらないように、また集中できるように、効果的に棚などで区切ることです。対比としてできれば避けたいのは、大広間の床に点々とおもちゃを配置することだと感じています。できれば、対称となるそれぞれの空間で、同じおもちゃで、どれだけ遊びや子どもが変わるか比較することができれば最もわかりやすいのですが、それほど遊びに影響を与えるものだと思っています。
『点在する木のおもちゃ』と『遊び込める空間でのプラスチックのおもちゃ』なら、私はもしかしたら後者のほうが優先しなくてはいけないことなのではないかと、この頃考えています。(『木のおもちゃとプラスチックのおもちゃ』というのは、『良いおもちゃとそうとはいえないおもちゃ』をイメージで表現したものです。)

実際におもちゃを大切な教材として取り入れようとしている園にお伺いすると、まず空間をよく考えて設定してあり、「まだおもちゃは追いつかないんです…」と笑いながらスカスカの棚を指し示してくださることがよくあります。でも、これからが楽しみだなあと、期待が高まります。
おもちゃを扱いながら、おもちゃだけが先走りしないようにということを改めて考えています。

そしてさらにここに、時間の流れ、関わる人の資質、とまだまだ遊びをとりまく環境は深まっていきます。
今後も、おもちゃを活かす環境づくりの材料、学べる場など、トータルでご提案できるよう、アンテナを伸ばしていきたいと思います。

※もちろん、保育現場では、集団を生かしたおもちゃ遊びがあります。みんなでごっこや積木の世界を広げるときには、それなりの空間の使い方があります、が、それはまた別の機会に。