教育的おもちゃ、とは

おもちゃメーカーの方針はとても大切なものだと考えています。たくさんのおもちゃの中から良いものを厳選して日本に輸入してくれている代理店さんたちは、いずれもおもちゃ会社がどんなメーカーかということ重要視しています。私も時々、それぞれの会社のwebページや輸入元さんによる紹介を見たりして、メーカーにの思いに気持ちを寄せてみます。

Grimm’s社は虹の積木が特徴的で、ファンが多いメーカーですが、その方針に、シュタイナー的な自然に寄り添う姿勢を大切にしていることが表されています。自然界の色、形、要素をおもちゃに反映しています。
続けて、モンテッソーリ教育を意識していることも記されています。大きさに秩序がある積木や、虹のカウンティングブロックとそれに対応したビーズなどはモンテッソーリの考えを取り入れています。

最近おもしろかったのはミラニウッド社でした。
イタリアの会社ですが、ゲームも積木もすでにドイツの会社からいくつか選んでいたので、特にこの会社のものは選択しないできました。でも機会があり触れてみると、仕上がりよく、遊んでも楽しくて、興味を持ちました。それで会社の方針を調べてみると、良い素材を使い教育的にも価値が高いものをデザインすることを心がけているとのこと。なるほどと思いました。特に教育的に価値が高いということ。

イタリアはモンテッソーリメソッドが最初に実践され、レッジョ・エミリアの取り組みを見ても、教育への関心が高いことが伺われます。ミラニウッド社のゲームを遊びながら、ああ、そういうことか、と感じました。

ところで、日本で「教育的価値が高いおもちゃ」をと言われたらどんなおもちゃが作られるでしょうか。文字数字、計算、暗記などを、より早いうちから取り入れるものがイメージされるのではないかなと思うのです。

私がグリムにしろ、ミラニウッドにしろ、遊びながら感じ取った教育的価値は「知る」よりは「気づく」でした。
『クレイジービル』というゲームがおもしろかったのですが、立方体の積木はどの面も同じ形をしているが、レンガ型の積木は見る面によって大きさや形がちがう、それによって何が起きるかをゲームを通して気づいていきます。
設置する面積が小さいとバランスが危うくなることや、片側にお人形をのせるとそちら側に重みがかかることを、自分の手を使って気づいていきます。なぜここに積木を置いたら乗せられるのに、5ミリずらすと崩れてしまうのだろう、実験者になります。

興味をもったものを自分から知りに行くことと、そこにあるものから自分の動きを通して気づきを得ることが、幼児期の学びだと考えます。なので、店内にあるおもちゃをあえて教育的おもちゃとは呼びませんが、いずれも教育的価値の高いものと思っています。見ただけでわかるのではなく、遊んでみたらわかるのが判断材料のひとつかもしれません。なので、大人こそまず遊んでみたら良いと思います。子どもは、先に気づいていると思います!