ミュンヘンの幼稚園見学、レポート

ミュンヘンにある公立幼稚園の見学をさせていただきました。
着いた時に歓迎のサインがあったことが嬉しかったです。

最初に大まかに施設内の案内をしていただいたあと、朝の集まりの様子から子どもたちの中に入れてもらいました。年間を通したテーマが「スポーツ」ということで、今はウインタースポーツにスポットをあてていました。活動にテーマを持つことは日本の保育でも実践があります。

音楽に乗ってみんなで体を動かしました。ボブスレーの歌??

この幼稚園は、系列園として2軒が隣り合わせになっており、ひとつは自由保育がメイン。子どもたちは好きな場所で好きな活動をする保育を中心としており、もうひとつ、今回の見学園の方は、ハンディのある子も一緒に、教師の計画に沿った保育を中心としているとのことでした。どちらの園に通うことになるか、入園する側は入園時には決めることができないようです。

毎朝繰り返される決まった流れ。今日の日付のことなど。これは大切な習慣で、よく見られます。

お当番さん的役割の子がいますが、言葉にプラスして手話を使います。これは身近な保育にすぐに導入できると思います。口からの言葉と手話と、それぞれ必要とする人がいる。

見学させていただいた方は教師の計画に沿った保育ということですが、それは言い換えると「子どもが見通しを持てる保育」ということで、教師主導ということではなかったと思います。設定してあるものは同じでも、子どもが自分で選びに行くか、教師が選択をサポートするか、そういった違いと認識してます。子どものタイプがいろいろで、向き不向きがあって、それぞれに合った場があるということではないかと思います。すごいことだと思う。

朝の挨拶の後、教師は今日のそれぞれのプロジェクトを説明します。

子どもたちはそれを聞きながら、自分は今日何をやりたいか決めていきます。週単位でバランスが取れるよう、自分の遊びが可視化できる仕組みがありました。

今日は音楽の気分。

絵を描きたい気持ち。

プロジェクトには参加せずお部屋で自由に遊びたい。

子どもが選べます。
おままごと、ボードゲーム、構成遊び、積木、アート、音楽、木工、などなど、遊ぶものはたくさんありました。

何もしたくないときは、高いところで一人落ち着くスペースが各部屋にありました。ここからみんなの様子を眺めるのも、子どもの大切な活動です。

子どもの育ちに何を見据えているかがはっきりしています。ドイツという国全体で『自立』を目指しています。モンテッソーリ教育も、お仕事や知育のメソッドではなく、テーマは自立です。ヨーロッパ的考え方なのでしょう。「日本の子育てや保育の良いところは、優しく、暖かく、手厚いこと」これは複数の方から聞きました。ヨーロッパ的な方針はクールにも見えます。

私自身はアメリカでも保育士を経験しており、こちらもヨーロッパに近いです。ただ、クラスにはアジア圏のお子さんも多かったです。共通して子どもをかわいがるというアジアの文化は、それも良い文化だと思いました。

自立は、他者への配慮なくして成り立ちません。社会のルールをみんなで守り、気持ち良い、成熟した印象のドイツ社会は、過ごしていて落ち着きました。いいなあ、ここは、と思いました。
でも、日本社会もみんなで仲良く気持ちよく暮らしたいのは同じだと思うんです。なぜ、競争とか比較でストレスをためなくてはいけなくなったか。スピード重視になったのか。評価を気にして自分のやりたいことがわからなくなっているのか。それは、本質ではないからしんどいのだと思います。自分たちの住む社会には、ヨーロッパから見ても良いところがあって、ヨーロッパの良いところも望んでいるはずで、もっと良くできるだろうなあと期待します。これからの世代に少しずつその意識が根付いていくことが大切だと思う。だから、幼児期の過ごし方、園のありかたに関心を持ち続けて行きたいです。

子どもが急かされない園生活でした。ゆっくり、ゆっくり。
それができるスペースが整っている。お支度も自分でできるところ、手伝ってもらうところ、ゆったりしたスペースで、ゆっくり。みんなで一斉に出たり入ったりしなくてもいいからできる。

お外好きですね。暖冬ということもありますが、街なかのカフェでもテラス席には人がいました。
もちろん幼稚園もしっかり外遊び。
園庭は、自然にこうなっていきましたという感じの、造り込まれてないおおらかな雰囲気がとても良かったです。

保育士をしていたとき、園庭で「せんせー鬼ごっこの鬼やって!」と言われるのがとても辛かったです💦
ドイツの先生は遊んであげない。子どもたちが勝手に遊ぶのを見守るのが仕事。

アメリカもそうでしたが、教師の子どもに対する声かけが、大人に対するものと変わらないことが印象的でした。凛と、穏やかに。小さいうちから大人のように振る舞うことを求められているのかもしれません。でも、子どもは大人とは違うということを知っている専門家として誇りを持って仕事に向き合っているように感じました。

みんな、どこの国でも、子どもの豊かな育ちと平和な世界を望んで保育に向き合っているのは同じ。良いところを学び合うことができたら良いなと思いました。

BLANCOさん、大変よい機会のアレンジをありがとうございました!