その時得たもの・さんすう

お客さまとのお話からです。

幼児期に好きなことでたくさん遊んで育つことを大切にされてきたこと。文字や数を教え込むことはしてこなかったこと。でも小学生になって算数の授業にあまり興味を持てない。このままつまづくことを心配されており、幼児期の過ごし方について、それで良かったのか考えてしまう、とのことでした。無理なく数に関心をもち、その概念がわかるようなおもちゃのご相談でした。

私の3人の子育ての経験から思うことは、その子によって興味を持つことは違う。同じように育てても、数学の世界が何よりも好きな子もいたし、できるだけ避けて通りたい子もいました。積木を用意しても、そこから自然科学へ向かう子、ファンタジーの世界に浸る子、ビジュアルにこだわる子、それぞれで、学校での得意不得意も随分違いました。

情報は得たいが、自分からの発信には興味がない長男は、3歳でひらがな片仮名を勝手にスラスラ読みましたが、書くのは小学校に上がる少し前だったり、次男は小学校2年生の九九が4年生ころにようやく定着したり、本当にさまざま。それでもまあ、クルテクにあるおもちゃで遊び、海や山に放ち、読書の楽しみはいずれも覚え、悪いことも失敗も盛大にやらかしながら育ち、九九の定着が遅くても受験期にはなんとか高校数学まで取り組み、大学では研究室も決まったなどなど、たくさん心配もしたけれどそのときが来ないとわからないこともたくさんあるものだなあと思い返します。

今向き合っているご心配のことは本当によくわかります。幼児期にもう少しお勉強してきたら良かったのだろうかという思いも。でも、思います。幼児期は、過ぎてからは戻ってきません。好きなことでたくさん遊んだ経験は、進路の時期に迷うお子さんを、親として支えるときにとても心強い材料になります。その子が小さいときにどんなことが得意で、何に夢中になっていたか思い出すと、子どもの力を信じてみようかなという気持ちになれます。こんなことが好きで上手だったね、と言葉をかけてあげることもできます。虫でも、食べることでも、イラストでも、何でも良いと思います。子どもはその中から自分で決めて行くでしょう。幼児期に数も文字も不要ということではなくて、たくさん遊んで育つことを疑わず大切にしていただけたらと思っています。時間が限られていたら、子どもの好きなことの方を優先したら良いのではないでしょうか。

大人は、子どもが好きなことを見つけるための環境を作ってあげることはできます。その日は、ソロバンぴっぐテン、おしつけたし算、プラステンをご紹介しました。幼児期ですとナンバーパズルもおすすめです。一緒に遊ぶことで見えてくる姿があるので、ぜひ一緒に楽しんでくださいね。