ドイツの旅にて、フレーベルの実践ワーク

フレーベルの学びは実際の保育現場でどのように実践されるかというところに進みます。
ドレスデンの街並みを臨むフレーベルセンターでの研修が始まりました。

空も青くいい眺め!

席についた私達をまず出迎えたのは、ひとつの胡桃。
ん?なにこれ??

博物館で聞いた、子どもは種のようなものというお話、胡桃はその種でした。
この胡桃の中には、胡桃になる全てが入っています。子どもの中にも子どもが育つ全てが入っています。
芽が出ると多様性が生まれますが、その環境を整えるのは大人の役割です。

続いて色用紙と丸が描かれた白い紙が配られます。
白い紙から丸を切り出します。

このあたり少々哲学的かも。切り抜かれた丸と、残った白い紙、対極にあるが元は同じものです。ひとつの統一されたものから多様性が生まれるということを表しています。
対極にあるものには真実が含まれている、と。例えば昼と夜。例えば…うーん、ちょっと難しい。
この丸を、各自が好きなように二分割します。最初は統合されたものであるが、ひとつずつ多様性が生まれるという説明に、なるほどと納得しながら先へ進みます。


恩物が並べられます。
第一の恩物はカラーボールでした。これは地球のシンボル、持って生まれた原点とみなすようです。
対極にあるのが立方体。これは後天的に得られる知性のシンボルです。
中間にあるのが円柱です。先天的にもって生まれるもの=球、と後天的に得られるもの=立方体、の中間的立場です。確かに形の特性としても両方を兼ね備えた部分を持ちます。ここで円柱とは大人の仲介であると例えられました。
この3つの形が第二恩物でしたね。
ここまでは概念的なものと言って良い部分もあるかと思います。

さて、第三恩物、積木に入ります。私達も実際に使ってみます。

8つのキューブ(知性のシンボルですね!)を与えられて腕組み。うーむ。ここはひとつ3歳児に戻って…


並べてみました。曲線が好きみたい。

うーん、こんなものなのか??

大人が子どもに渡す前にそのおもちゃをじゅうぶんに触ってみるというのは、とてもいい事だと思います。
次の課題は第四恩物の箱。

レンガは可能性が広がる分手強い面もあります。

参加者みんな真剣です。

この時点で漠然としていた積み木遊びに目が開きます。フレーベル積木をお持ちの方は実際にここまでやって見られたらおもしろいと思います。
(クルテクでもフレーベル積木と、恩物3〜6を販売しておりますよ!サンプルもあります!!)

自分が持っていた積木を持ち寄って、グループで課題に取り組みます。

どうしたものかと思いながら、グループの各自順番にひとつずつ積木を置いてみました。次の人が自分の意図を継いでくれるとも限らず、しかしなんとなく統一されたものができた感じ。


このグループは、コリントゲームを作ろう!と意気投合したようです。


このグループは各自が持ち寄った積木がすべて第三恩物の箱だったため、それを生かした模様作りに取り組んだようですね。

恩物5、恩物6と遊び、またグループ活動。積木も増えました。

今度はグループで相談していろいろ意見を取り入れながら積木で絵を描きました。3人グループで私の他は20代の女子2人。いかにもでしょ。私じゃ難しい発想。


ここの空気はまた別のものでしたよ。光が差して新しい美が生まれました。

これらの取り組みに、シンプルな旋律の歌を交えていく実践も紹介されました。
フレーベル教育では歌をとても大切にしており、たくさん書かれています。今行なっていることを歌で説明していくのですね。覚えやすいと思います。歌って、ずっと昔から、人から自然に出るものです。
人の声は、人に対して最も優しく響くことができると思うのです。早期の音楽教育、テレビ、電子音、機械音…この講座が進む中でこれらは無益と言われると、ああなるほどとすんなり納得します。

また、片付けまでを一連の作業の一部として重点を置いて説明がありました。
この研修の翌日に見学した幼稚園では、1歳児さんが先生に習ったとおりに一所懸命正確にお片づけをしていて、それがまた自然であることに驚かされました。

ワークショップの流れだけ見ていると積み木講座のようですが、基本理論は、大人が子どもの持つ全てを引き出すために、適したものを用いて仲介的役割となりその環境をよりよく形にする、ということだと思います。
次は、この基本理論を実際に保育に取り入れている園での様子をお伝えしたいと思います。