『ぼくたちの哲学教室』を観に

店がお休みのある日、この日は映画を観に行くと決めていました。前々からカレンダーにも書き込み、念を入れていました。というのは、上映期間が短く、時間帯がお昼なので仕事終わりにというわけにもいかない。上映期間中で予定のないお休みの日というと、この日しかなかったというわけです。

デンマークの旅で自分に入ってきた「民主主義」という概念は、政治的な思想とはちょっと違っていて、日常に根ざした生活様式のようなものと理解しました。幸せに生きていると感じることの根本にあるのが、どうも民主主義思想らしいと知ってからは、意識しています。

大切なのは【対話】で解決すること。【空気】を大切にする日本では、ハードルが高いことだろうと思っています。でも、できるようになるといいなと思っていることです。多分、【対話】できるようになると、すっきりラクになる人が多くなると思う。

『ぼくたちの哲学教室』は、アイルランドの私立男子小学校で日常行われている、対話による問題解決の様子をドキュメンタリー映画にしたものです。小さな事件は頻繁に起きる。そのたびに、対話を繰り返すことで、起きた事件に向き合い、自分の気持ちを整理し、解決の仕方を学んでいく。

哲学的であるということは、ひとつの答えを導くことが目的ではなく、それぞれが自分の考えを言語化して整理するということで、問いかける大人のありかたが印象に残りました。問題を起こさないことが大切なのではなく、問題は起きるという前提で、どう解決していくかという考え方は、人の自然な姿に合っているだろうと思います。人はそれぞれ違うので。問題は起きて当たり前かと思います。

それぞれ違うということを認める。そのうえで共存する方法を探っていく。みんな一緒であるために空気を上手に読みましょうという全体感、そろそろなくなっていってもいいのではないでしょうか。

同じエリアに宗教的な対立があるといったようなアイルランドの社会背景は、日本と違うので、歴史も踏まえた観点が必要ですが、映画はおもしろく、あっという間の時間でした。なにか結論が出たと言うよりは、また考える材料が増えました。