タリンの日

ヘルシンキからタリンへの日帰り旅行ができるのだ、本当に本当に素敵な場所で、私の一番好きな旅行先になったと、フランス人のお客さまからお聞きして以来、自分も行ってみようと思っていました。作家さんの工芸品のお店もいろいろ見られるのよ、とも。買い付けの旅ですので、良いものが見つかりそうなら行ってみようとスケジュールに入れました。

昨日コペンハーゲンでギリギリに飛行機に乗り、17:00を過ぎてからヘルシンキ入りして、タリンへ行くのは翌朝7:30のフェリーです。7:10で乗船完了なので、6:30までにはホテルを出たほうが良いです。朝食付きでしたが間に合わないと伝えたら、朝早いお客さんのために簡単なものを並べてあり、サンドイッチを作って持っていくことができる、とのことで、そうすることにして、フェリー乗り場までの段取りを何度も確認しました。

多分大丈夫。5時過ぎに起きて準備します。6:30に出発しました。ちょっと寝不足でしたが2時間の船旅で寝ても良し。しかし港へ向かうトラムの乗り場が、ほんとに何度見てもわからないんです。うろうろしているうちにどんどん時間が過ぎます。まずいです。昨日どんなに疲れていても、トラム乗り場は確実に把握しておくべきだったなと反省しつつ、船に乗れなかったときのこともシミュレートしていたときに、なんとタクシーが走ってくる!手を挙げてみる。あーあ、通過していく、と思ったら、少し離れて止まってます。止まってくれた?と近づくいてみました。「タクシー乗りたいの?」と聞かれて、今乗せてもらえば船に間に合う。即決です。

タクシーの運転手さんは、ナイジェリア生まれで、ロンドンで仕事をしていたけれど、半年前にヘルシンキに移住してきた、という方。英語がわかりやすくて話が弾みます。ヘルシンキはとにかく安全で静かだ。心から気に入っていると。日本から来たと伝えると、兄弟が日本にいると。日本人の女性と結婚することになって、9月には初めて日本に行くのだ、と。私がバス停に立っていたのでバスを待っているのかと思って、タクシー呼ばれたのか迷ったよーと。あのバス停で待ってても港に行かないよ?などなど、10分程ですがおしゃべりが楽しかったです。

今回こそはダメかと覚悟していましたが、予定の船に乗ることができました。でも、寝不足と朝からの緊張続きで体が重い。憧れのタリンに到着しましたが、お店をのぞいてみようという気力がわかない。入ってみても品物に響かない。暑い。

なにか食べてみようと思いました。お店の人が民族衣装を着ていて、きっとトラディショナルなエストニア料理のお店なのだろうと思って入りました。

体調イマイチなときにがっつりメニューは厳しいので、一番軽そうなスープをお願いしました。マッシュルームのスープです。

ハニービールが超オススメとのことでしたが、ベリージュースを。器がかわいい。木のスプーンも、見た目以上に使いやすいです。そしてこのスープがおいしかった!きのこからよいおだしが出るのでしょうね。全部食べました。食べたら強烈な眠気が訪れ、人の少ない木陰で少し寝ました。海外で、外で、寝るか?今思うと。

目が覚めたら回復していました。食べて寝る。大事ですね。

足が軽くなり、頭がすっきりしました。はじめスルーした品物の魅力がどんどん自分に入ってきます。路地歩きのカンも冴え、素敵な作家さんのお店に出会えました。

荷物を抱えて一休み。キャラメルラテを注文したらミルクの種類を問われる。まず植物性か動物性か選びます。植物性なら、ソイ、アーモンド、オーツ、ココナッツなどから選ぶ。こんな選択肢を与えられたことがないのでおすすめを聞くと、オーツはどう?とのことで、オーツミルクのアイスキャラメルラテにしました。

人にはそれぞれ好みや事情があるのです、という意識を端々に感じています。朝食のヨーグルトも、プレーンだけで10種類はあると思います。たくさんの選択肢から自分は何を選ぶか決める、この地味な自己決定の積み重ねは自己の確立に大きく影響してくると思いました。自分で決めるって、重労働です。でもできるようになったほうがいいですね。

5ユーロ払って高い塔に登る。足で登る。あれだけ疲れていましたが、登ったあとはスッキリしていました。景色を堪能したかったのですが、すごく怖い足場でした。

中世の町並みの外側は近代的な建物が並びます。最先端も同居しています。心に残る街でした。少し外れた場所のマーケットにも寄りました。そこのアンティークショップでも掘出しものを見つけて、行ってよかった。

19:30のフェリーでヘルシンキに戻ります。余裕をもって港に向かいます。GoogleマップでターミナルDを指定し、言われたとおりに向かいます。示されたバス停で降りて、示された道順を歩く。少し歩いて、なにかおかしいと気づく。向かっていたのはターミナルDの車を乗せる場所だったらしい。人が乗る場所はそこからは徒歩30分以上離れているようです。でも歩くしかない。ホントか?と思いました。タリンへのフェリーに乗るのに、行きも帰りもこんなに相性が悪いとは。この日の歩数は33000歩でした。半分くらいは無駄歩きかと。

フェリーは巨大で、お店がたくさんあって、キッズスペースもあって、窓から外を見ないと動いていることにも気づかないくらい揺れもせず、楽しく過ごせました。揺れない船は、飛行機より車より鉄道より、静かで快適なんですね。今まで避けていたけれど、船旅が人気があるのもわかりました。

ヘルシンキのホテルに戻ったのは22:00過ぎでした。まだ明るかったです。