森と湖へ

丸一日使えるのは今日が最終日です。なんかもう外国にいるという気がしなくなってきてますが、さみしいです。思い残しの無いようにちょっとハードに行きます。

昨日一日ヘルシンキの街や人々を見て、もちろん子連れさんファミリーも見て、じわじわと、これは半分の側面でしかないのではと感じ始めました。きっとフィンランドの子育てには自然が深く関わっているに違いない。これを見ずしては片手落ち、と思い、お買いものをやめて大自然を求めに出かけることにしました。

こんなで突然決めるので、ひとり旅が向いているのですが、それはそれとして調査不足です。国立公園をGoogleマップで指定して向かうことがおかしい。すごく広いはずなのに、マップはどの地点へ連れて行こうとするのだろうか。

指定されたバス停の少し手前で皆さんが降りるので、慌てて降りました。3組ほど同じ方向に向かったので、ついていきました。前後の2組はすぐに見えなくなって、ご年配御夫婦だけ同じペースで歩いています。

奥さんは朗らかで、お二人ともよくおしゃべりして、時々手をつないで、ほんといい感じ。ですが、私のほうが少々ペースが早く、少し先を歩き始めました。周りには誰もいなくて、自分がどこを歩いているのかわからず、不安になって引き返しました。また御夫婦とすれ違う形になったのですが、私に声をかけてくださって、地図を見せてくれました。このまま行くとインフォメーションがあって、そこから周遊コースがあるのよ、と。

なるほど。2.4km先にインフォメーションが表れ、そこでようやくこの国立公園の全貌と、自分がどう動くかが見えました。ありがとうございました。チェコからご旅行中とのことです。

そして知る。ここはお弁当を持ってくるところ。水しかない私は食事抜きでこの公園を回るのだろうか。インフォメーションに、食べ物としてプリングルスの小さい筒がありました。それを買ってエネルギーとしました。ひとまずよかった。

準備不足がリセットされて、本格的にトレイルに入り、ただもうその素晴らしさに感じ入っていました。山道足早に駆け抜ける癖があるのですが、このトレイルは終わりたくない、いつまでも歩いていたいと思う。そして、ここへ向かった自分の勘も答えが合いました。フィンランドの人がどれだけ自然を大切にし、子どもの教育に必要なものとしているか。

私は、おもちゃも大好きで、自然があればおもちゃはいらないとは言わないです。おもちゃも必要だと信じています。ですが、自然は重要です。これも信念です。どちらも大切。どちらも大好き。

Googleマップが最初に示した場所は、大きなインフォメーションセンターで、食事もできるようです。ここをゴールとしてハイキングを楽しむことにして気持ちよく歩きました。着いたら食事もしましょう。こういうときに限ってバスの接続が良い。1時間に1〜2本のバスがすぐ来るとなれば、食事もインフォメーションもパスしてバスに乗りました。そのまま、次の目的地、オーディ、ヘルシンキ市立図書館に向かいました。図書館のカフェで食事にしましょう。

ものすごい建築です。すごすぎて、なんだか遠い存在すぎる感覚でした。思ってたよりさらっと過ぎました。

カフェのランチタイムは終わっていて、ケーキにしました。一度どこかでフィンランドのケーキを食べておきたかったのでこれでよし。アメリカのケーキはキツかったですが、ヨーロッパのはおいしいです。すごくおいしいです。

オーディの奥に公園が広がっています。ここが素晴らしい。水と砂と砂場道具が使い放題で、子どもは遊びこみ、大人はゆったり見ています。都心にこれなんですね。賑やかだけど穏やか。複雑な遊具じゃなくて水と砂。

公共の場はどこも、あらゆる年代が同時に楽しむことができるように設計されている。でも同時なんだけど住み分けることもできている。お年寄りと小さい子と、10代の若者、同じ公園内にそれぞれがくつろげる場所があって、それらはゆるやかにつながっていて、好きな場所にいられる。誰も邪魔じゃない。迷惑じゃない。デザインが良いのは見た目だけでなく、ひとの行動に対してが本質なのかと思いました。

みんなで守り大切にしている大自然と、誰も取り残さない公共。フィンランドの教育が高く評価されるとしたらこの背景ありきかと思います。

最後の晩に、旅の成果を感じました。仕事を通して、自分の身の回りにつなげていきたいと思います。