叔父が勧めたマンガ

私の叔父は、私の両親が出会うことのないおもしろいものをいろいろ知っていて、実家に来るときに紹介してくれるものは楽しみでした。ある日持ち込んでくれたのは、マンガ「はだしのゲン」でした。第二次世界大戦中、広島で何があったのか、目を逸らしたくなるような絵柄でした。

怖い思いをして、何度も読みました。被爆の現実がとても怖かったし、もう一つ怖かったのは、統制です。自分の思いを思う通りに言葉にできないこと、拒否したくてもできない強制があること、この漫画を読むまで知らなかった。心の底からこんな目にあいたくないと思いました。こんな形で家族を失うなど耐えきれないと考えていました。

実家で同居していた祖父は、体が小さくて検査で落ちたから徴兵されていない、と言っていました。後になって、祖父の体格が良かったら、私はこの世にいなかったかもしれないんだな、と思いました。

「はだしのゲン」を読んだときから、戦争はもう絶対起こしちゃダメと固く心に決めました。今年で戦後80年。自分も経験していないことだけど、あとは、次の世代に伝えていくしかありません。