2日目。朝は4時半頃でしょうか、起きました。今日は雲ノ平へ向かいます。高低差を含めた地図は一応頭に入っています。まず急な登りが続いて、その後は比較的なだらかに長く歩く、と。まずは急な登りを頑張りましょう。
なんて、は?って感じです。そっか、整備された登山道ではないのですね。よく滑る大きな石がゴロゴロ。手をついて、足の置き場を確認しながら慎重に登りつめて行きます。今日はお天気が良いようです。このルートを雨の中登るのは辛そう。リュックの荷物も重いです。登れば登るほど、またここ降りるんだよね、と帰りのことが気になります。
下山の方たちとすれ違います。素晴らしい景色の中を歩いてこられたのでしょう、今日は最高ですよ、槍(槍ヶ岳)もよく見えました、と。山では声をかけ合うことがよくあります。すれ違うときは、こんにちはーと挨拶します。これからどちらへ?お気をつけて!などなど。山好きの人たちの山に来ている嬉しさの共有と、もし何かあったときにもすれ違った人の情報は大事な手がかり。
昨日からも度々そうなのですが、景色は突然開けるのです。苦しいところを苦しみながら歩いているので、ぱっと開けると思わず「うわっ、きたー」と声が出てしまいます。辛い石ゴロゴロが終わり、手を使わなくても歩けるところに来ました。しばらく写真を撮ったりして、また歩き始めました。

雲ノ平は遠い。緩やかに登りながら道は続きます。再び森林限界に出て、お天気は快晴です。景色を楽しみながら歩きます。よほどの健脚でなければ片道2日かかります。荷物もそれなりです。でも程よい負荷を背負って歩くのは悪くないんですよね。

雲ノ平という名称からも、高所に平地が広がる場所で、見晴らしがとても良い。ああ、ゴールの雲ノ平山荘が見えた、もうすぐ到着だ、と思った。しかし、見えてからが遠い。歩けば近づくのだから歩く。山歩きって人生重なりますよ。見えてから、遠いのです。でも向かって歩いてたら、道間違えてなかったら、着きます。
雲ノ平山荘の前のベンチに座って、歩いてきた景色を眺めます。来ることができました。
雲ノ平は『場所』で、お山ではありませんが、同じ山域には素晴らしい山が連なっています。それらの山々を楽しむ方も多いですが、今回は雲ノ平がゴール。早い時間に到着して、今日は雲ノ平を楽しみます。楽しみのひとつは雲ノ平山荘でしょう。ここ、最後の秘境に建てられたご褒美。おしゃれで快適でカフェも充実しています。





家族とシェアして2種類の昼食を楽しみました。窓の外は絶景。テーブルを分け合った人たちとは喜びも分かち合いながら、すっかり満たされました。満たされたのでお荷物の整理へ。

午後になり、時間にもメンタルにも体にも余裕ができました。周辺散策に出かけることにしました。頂上含めて3時間ほどで行ける祖父岳という山があるので登ってくることにしました。



いつも使っている大きめのカメラを担いでいきました。荷物が重くなってしまったけど、持ってきて良かったです。でも、どれだけ頑張っても、自分の目が捉える以上の風景の撮影はできません。こんなに素晴らしいのに、画像になってしまったらなんか違う。自分が見ているのはこれではないなと。でもいいのですよ、自分は実際に自分の足でたどり着いてこの景色を見ている。
行ってみないとわからないのだけれど、行かなくてもわかったつもりになれるコンテンツがどんどん充実していて、仕事でもその恩恵は受けています。でも、どんなにバーチャルが発達しても実体験は別物だし、それを感じ取ることができる感性を鈍らせてはいけないと思う。誰かの体験をなぞることを目的としないようにもしています。ああ、画面で見た通りでした、で終わらせたくない。今それも多くなっていると思います。
山って、スマホ使えないことも多いし、娯楽もないし、ぼーっとしたり思考に耽るしかないのですよね。なんだかいろいろ考えながら歩いていました。
雲ノ平山荘の夕飯は石狩鍋が定番。酒粕たっぷり入って、隠し味にナンプラー入ってるみたいですね。秘境で鮭!これが沁みる。山で汁物最強です。ヨーロッパのご飯も好きですが、極限のときの味噌汁や鍋のありがたさ。和食の癒やしDNA健在。

夕食後、カフェが再開します。自家製ミルクジェラートなどいただきながら余韻を楽しみます。

明日は下山に向かいます。しっかり休むのは鉄則です。寝ます。