やってみる価値あり

新しい価値を見出すのは、それまで長く信じてきたことがあるとなかなか難しいと思います。でも、やってみないとわからない、やってみたらわかる、だからやってみる価値はあると思います。

例えば北欧の人々が大切にしている幸せの中身。ほとんどの人が、大切な人との時間、と答えます。これは、コペンハーゲンのハピネスミュージアムでびっしりとそう書き込んであるのを実際に見たので、本当に価値を感じているのは間違いないです。消費に幸せを感じる日本の幸福軸がこの価値観をどうやって体感するか。

おいしいものを一緒に食べるのは王道のひとつだと思います。私もその時間は好きです。その中身は、おいしいお店に食べに行くことやおいしいものを買ってくること。自分で作るのは、一般的にお店より劣ると思うし、料理が趣味の人はともかく、作ったり片付けたりの手間をお店にお金を払うことで幸せに換算したい。

しかし、おいしいものを丁寧に作ってくれるお店は、実は飲食店の中でそこまで割合が多くないのかも、と思うようになりました。とくにカフェなんかは雰囲気重視で、コストのわりにそこまでおいしいかというと、ある程度自分で再現できる人は多いと思います。お店に朝ごはんを食べに行くのを時々楽しんでいたのですが、この頃は、気に入っているコーヒー豆を挽いて、タリンの陶芸家のお店で買ったカップに注ぐ。気に入っているパン屋さんのパンに、バターはリッチにカルピスバター。トレーはスウェーデンの木製。コペンハーゲンで見つけた一輪挿しに、僅かな花壇のラベンダーを挿して置いておく。こんな、やってみるまでは、はぁ、それはたいそう優雅なことですね、と思っていた朝ごはんに思いがけない幸福感があって、やってみるものだなと思っているところです。意外にも、店に行くより満足度が高い。

子どもの遊びがそうなんですが、完成度ではなく自分で選び自分でやったものを自分で味わう。義務から行うのではなくて、一人満足でも、誰かと共有でも、どちらでも良い、新しい価値として試してみるのはおもしろいかもしれません。

良いもの、好きなものをゆっくり選ぶ、そこにコストをかけるのは、消費とは違う、攻めの喜びがあります。店の中には、おもちゃと、それから日常の道具や装飾も置いています。遊びも日々の営みのの一部で、まさに生活で、全部つながってみんなの幸せになれば良い、と思います。