手をかけること

掘出しものは、ずっと前のものが掘り出されてきたので、入念なチェックとメンテナンスの一手間をかけてお客さまにお渡しします。1日中再生作業をやっていることもあります。新品はどんどん生産されているのだから、わざわざ古いものに手をかけることに意義があるのかという見方はできるかもしれません。

手をかけるといえば、店で梱包のときに使うプチプチやダンボールシートも、入荷のときに使われていたものを再利用するようにしています。そのままでは使えなくて、きれいな部分をきれいな形に切りそろえてストックします。段ボールは、荒く切った後にカッターで整えます。これも時間がかかる作業です。

新品のプチプチやダンボールシートは、安価で翌日に届けてもらうこともできます。ラクにきれいなものが手に入ります。カッターで切りそろえている時間に、もっと効率良く他の仕事を進められるでしょう。時は金なりという言葉。費用対効果という言葉。手をかけるより、効率が良いことに少しのお金をかけて、それを取り戻すように生産性を上げましょうという考え方。

一方で、生産性の限界も知るように気をつけています。先へ先へ、量をこなしていると思っていた仕事の手をちょっと止めて、ひたすらカッターを動かしてみる。作業ということが心を落ち着かせてくれて驚きました。頭をちょっとでも休めて、作業で整えた後、また続きの仕事にリフレッシュして取り掛かることができました。きっとあのまま続けていたら、正しい判断ができないとか、集中が続かないとか、結局時間ばかりダラダラかけてあまり成果が出ていない事になっていただろうと思います。そんなに生産し放しのスペックではないのです。

資源を無駄にせず、コストを下げて、自分もリフレッシュできて、単純作業は良いことづくしでした。ああこの時間がもったいないではなく、無心に手を動かす時間を意識的に取り入れようと、整ったダンボールの束に満足しながら思いました。