何歳でもいい、シロフォン付玉の塔

子どもが小さいときは「玉を口に入れるので危ない」、大きくなると「これは赤ちゃんのおもちゃだからもう幼い」、園や支援センターでは「玉が散らばって大変!」、そう言われ続けて、意外と子どもの手に届いていないかもしれない、シロフォン付玉の塔

メーカーが推奨する対象年齢は、誤飲の心配が少なくなる3歳からですが、使い方によって幅広い年齢で楽しんでいただけます。

0歳から

0歳の赤ちゃんには音を聞かせてあげましょう。玉が転がり始めると、ゴロゴロ音が聞こえてきます。レールを一段下ると音が変わります。あれ?と思っているうちに、玉は最後のシロフォンを美しく鳴らし、ハッとします。

乳児さんの保育室では、大人だけが届く高いところに置いておくと良いと思います。抱っこして歩きながら、大人がひとつふたつ玉を転がして、音を聞かせてあげます。良い音に耳を澄ますこと、その体験を大人と共有することで、信頼が生まれ、安定した心が育ちます。支援センターでは、リクエストしてもらって出してあげると管理しやすいですね。

1歳さん、2歳さんに

細かいものがつまみたいこの頃に、シロフォン付玉の塔の玉は魅力的です。最初は手のひらで掴もうとしてうまくいかず、散らばるかもしれません。玉は3個とか5個とか、大人のストレスにならない量に減らしておきましょう。つまんでも、転がすことより口に運ぶほうが興味がありそうなら、もうしばらく大人が見せてあげると良いです。遊んでいるときはまだ目が離せません。見ていてあげられるときだけ出してあげましょう。

細かいものをつまむことは、指先の発達にとても大切です。正確に穴に落とすのは難しいですが、良い動きの促しになります。一連の動きには、大切な発達の支えがあります。動きを見たくて、音を聞きたくて繰り返し遊ぶ。そこに育ちがある。その魅力を、このおもちゃは持っています。

3歳から

3歳にとって、もう幼いおもちゃではありません。店内では、4歳のお誕生日にこのおもちゃをリクエストしたお子さんと、もう幼いと感じて保留していたお家の方が3年粘り続けて、ついに7歳のお誕生日に決めてくださったエピソードがあります。ああ、これなら4歳のときに買っておけばよかった、とやっと手にして嬉しそうなお子さんを見ながら笑いあったことがあります。1歳や2歳のときのように、とりつかれたように遊び続ける姿は少なくなっているかもしれません。でも、時々鳴らして心を落ち着ける、ずっと支えてくれるおもちゃになります。

保育室で

保育におもちゃを取り入れようと考えてくださった園さんで、揃えたおもちゃがどうもうまく使えない事例を時々お聞きします。「まだおもちゃを使えるほど育っていないのです。育ってから出します。」とお聞きします。育てるにもおもちゃを使ってほしいと思います。成長発達の途中で、取りこぼしてきたことがあったかもしれません。おもちゃをやたらと投げるなど、3歳なのに1歳の行動ですね。そのときは、何度でもそこに戻って欲しいです。1歳の遊びを十分にしてこなかったかもしれない。3歳ならもうこれくらいのおもちゃ、とお選びいただいたものが、子どもの状態に対して高度すぎるのかもしれません。遊びや育ちは積み重ねです。年齢にとらわれず、夢中になってくれることをひとつずつゆっくり、経験を重ねると良いと思います。3歳にも4歳にも5歳にも、小学生にも、シロフォン付玉の塔は決して幼いおもちゃではありません。大人だってこれが好きです。

環境づくり

幼児の保育室でもどんどん使っていただきたいですが、壁を向いて一人用にひっそりと囲んであげるのがおすすめの環境づくりです。このおもちゃに数人集まると、音と動きにテンションが上り、どんどん興奮してくることがあります。集団の場ならでは、良いときも、そうでないときも一緒にいるときは他の子の動きが影響しますね。ひとり静かにじっくり向き合い、音と動きと、繰り返しをたのしんでいただくのが、良いと思います。

おうちで

おうちでは、卒園してもずっと側にいてくれます。赤ちゃんの頃から、時間とともに、木の部分は色づき、玉の色は剥げて風合いが出てきます。ずっと思い出に残るおもちゃになるでしょう。2代目3代目と長く使えます。ベック社のお父さんは、なかなか壊れないので買い替えてもらえないのが悩みだ、と笑っておられました。

玉は、劣化したり紛失していきます。玉のみも取り扱っています