相沢康夫さんを新潟にお迎えして

遊びとおもちゃの師匠相沢康夫さん。
おもちゃ屋を始める前から、おもしろい育児マンガを描かれネフの積木を華麗に操る方として、すごい方なんだ!と憧れていました。同じおもちゃ屋でしたので展示会などでお見かけすることもあり「わ〜本物だ!」とドキドキしたり、思い切って話しかけてみたりしてましたが、お近くで拝見しても雲の上の方でした。

2015年頃から相沢さんが講師の講座に受講生として参加したりして、お話の機会が増えてきた折に、思い切って新潟での積み木ショーをお願いしてみました。快く引き受けていただき、2016年にはついに新潟で積み木ショーを開催。うわ〜クルテクに相沢さんがいらっしゃる、と動揺しましたねえ。2017年に保育studyの講師をお願いし、その年にはSKB相沢康夫さんの巡回個展も新潟で開催しました。翌年の保育studyや、なんだかんだと2019年まで何度も来ていただき、すっかり新潟にも詳しくなった相沢さん。雲の上の人だった方が、親しくさせていただいてからも、いろんなことを教えてくださり、引き受けてくださり、ときどき仕事の相談もさせていただいていましたが、2020年から3年間はお声かけすることもできない期間でした。

2023年。そろそろまた遊びましょう!ということで、久しぶりに新潟で積み木ショーを開催することにしました。日程も決まり、お知らせを出しますとすぐにたくさんのお申し込みをいただき、多くの方に観ていただけることに嬉しい気持ちになりました。また、講師として研修を希望してくださる園さんもあり、大忙しの新潟滞在となりました。

まず園内研修その1
保育環境を整え、遊びを中心とする保育へ向かっている途中の園さんです。おもちゃや環境づくりの知識の前に、なぜそこへ向かうのかを共有することが大事という観点でお話していただきました。

遊びを中心とした保育は成果物が可視化されていなくて、保育実践側も保護者も不安になりがちです。子どもは大丈夫です。遊び中心だと喜んでます。その、今現在成果が見えないものを大切に育てることの意味。この先の社会に予想されることの中では、その意味は思っている以上に重みを持っているということ。

先生たちは真剣に聞いてくださっていました。これからの保育の励ましとなりますように。

翌日は園内研修その2
こちらの園では、環境づくりやおもちゃ選びを長年実践されていて、その実践をさらに充実・発展させていく内容です。テーマは「遊びの中の数学」。遊びこむ環境が整った中で、子どもたちは数学の世界にどのように出会っているか、そして保育者はその姿をどのように支えていくかというお話でした。

私自身は、学生時代の数学は高校2年生くらいからもうよくわからん世界になり始め、入試でも苦労した覚えがあります。しかし、息子の一人が数学に進んでしまい、キラキラと数学の話を始めると、わからないなりにもおもしろいし、興味も湧くものです。なるほど数学は美しいし、あちこちに潜んでいるものだと今は思います。

計算を暗記したり、テストでたくさんの数学の問題が解けるということを目指す人は全員でなくてもいい。でも、この世界を構成する美しい現象に親しむことはサポートしてあげたい。その気づきを得た方も多かったのではないでしょうか。

後半戦は1日積み木ショーday
3日目、こども園さんで午前に2回の積み木ショーと、午後は三条市こもれびの森歯科医院さんでの積み木ショーでした。私はこども園さんで同席させていただき、ご来場のご家族や先生向けの小さなおもちゃ屋も開かせていただきました。

前半はずっと大人対象だったためその時の様子に慣れていましたが、子ども向け相沢さんへとスイッチを切り替えると、ガラッとキャラクターが変わり、びっくりしてしまいました。子どもたちと対等であろうとする『積み木おじさん』。子どもさんたち、とても嬉しそうでした。大人の方も真剣にご覧になっていました。

弘法筆を選ばず。どんな場所でもどんな状態の積み木でもやりますよ、と頼もしいです。テンション上がった子どもたちの息遣いや視線を感じながら最後にかなり緊張感のある積み方を積み切るのは本当にすごいです。

最終日はクルテクで
相沢さんweekは毎日があっという間に過ぎて、いつの間にか最終日。医学町ビルで久しぶりに開く積み木ショーです。積木ショー1回と、午後には『遊べる大人になる』というテーマで講座を企画しましたが、数日で積木ショーはお部屋の容量いっぱいまでお申し込みをいただき、急遽午後にも追加しました。こちらもいっぱいになって締め切らせていただき、たくさんのお申し込みが嬉しかったです。

ご参加には年齢制限を設けませんでした。クネクネする子、フラフラする子、ワーワー言っちゃう子がいても平気、誰でも気軽に楽しんで見てちょうだい、という相沢さんのマインドの通りです。何度も見ていても、知っているネタでも引き込まれます。だって、ライブです。今日はうまくいくとは限らない。誰かの声かけひとつで流れが変わるかも。目が離せません。

私としては『遊べる大人になる』の講座がとても良い時間でした。相沢さんの語りと、ナビゲーターは丸山マチ子さん。遊べる大人になるためのノウハウではなく、遊び心を持った大人っていうのはこういう人、という相沢さんの姿に触れるものとなりました。

遊び心を持った大人はなぜ素敵なのでしょう。

それは、すぐにいろんなものを好きになって、好きになったらとことん惚れて、それを語るお顔がキラキラしているから。好きなものがたくさんあるということには愛情深さがある。それからゆとりを感じる。肩の力が抜けていて、安心感がある。好奇心旺盛の様子は見ていてもおもしろい。

それが遊べる大人であるということ。好きなものをたくさん見つけて、というメッセージに、ご参加の方のお顔やポーズも穏やかにリラックスしてきた、その空気が心地よかったです。

4日間、相沢さんの研修や積木ショー、講座に同席してみて、先月のデンマークで感じてきた流れにスッと乗っかった感覚でいます。学びが強化されました。自分のことを大切にできる人が、周りのことも幸せにすることができるんだなと、改めてしみじみ思いました。思いがけず深かったです。

楽しかったね〜また遊びましょうね!と言い合って相沢さんをお見送りしました。楽しい「相沢康夫さんweek 」でした。

ご来場のみなさま!相沢さん!力を貸してくださったみなさま!ありがとうございました。